Portacapture X6 箱

“音割れしない”32bit floatレコーダ TASCAM Portacapture X6が届いた

新たな32bit float レコーダー

1月にTASCAMから発表されていた、32bit float レコーダーのPortacapture X6が2月11日に発売され、予約していたので発売日に入手することが出来ました。

32bit float レコーダーの新たな選択肢が増えたことで、「音割れしない」レコーディングが広まっていく予感がしますね!

先だって発売されたZOOM Mic Trakシリーズは、品薄に加えてチラホラレビューなどで見かけたノイズ混入が、やはり製品不良であったとメーカーから発表があり、交換対応となってしまいまして少し残念なニュースがありました。現在のところ32bit float レコーダーをラインナップしているのはTASCAMとZOOMだけなので、ここはしっかりとした製品を投入して盛り上げて欲しいところです。

普及機となるか

これまでのこのクラスでのトップを走っていたのはZOOM H5でした。個人的にはこれの32bit float版が出るのではないかと期待していましたが、今のところはまだその兆しはありません。

Portacapture X6

そこにPortacapture X6が登場したことで、ミドルレンジの選択肢が広がったように思います。最高96kHzという部分では丁度ライバルの位置にいます。そこに32bit floatという武器が加わりましたから、相当なアドバンテージになります。価格差では2万数千円の差があるので、そこに32bit floatの価値を見い出せるかどうかと思いますが、個人的には十分な価値だと思っています。

操作性は直感的に使える

スマホのようにアプリ単位でプリセット設定を使えるところは、とても秀逸なユーザーインターフェースだと思います。初心者の方は録音対象にあったアプリを選択してその中のプリセットを選ぶだけで録音を始められますし、マニュアルで設定を詰めることも出来ます。

注意点は初期設定では32bit floatではなく、24bitになっているので32bit floatに変更してから録音しないと、折角の「音割れしないレコーダー」の本領発揮が出来ません。

それからX8のXLR/TRSコンボジャックから、XLRのみにしたのは残念。ZOOM H5の大きさでもXLR/TRSコンボジャックは出来るのですから、小型化が理由にはなりません。X8との価格差もそれほどないので、ここは非常に残念なところです。

そして本体中央下の赤ラインのエンコーダーですが、これ自体はとても操作方法はしやすいのですが、トルクが軽くて回りやすいので、もう少し重いトルクの方が良かったと思います。

スマホアプリ操作はほぼリアルタイム、、、しかし問題も

このレコーダーの特徴としてもう一つ秀逸なのが、スマホアプリでのBluetooth接続操作。オプションのAK-BT1 Bluetooth アダプターを別途購入する必要がありますが、設定を含む本体内操作のほぼすべてがリアルタイムにスマホ操作可能な点は素晴らしいです。フェーダー操作などもかなりスムーズなので、マストアイテムだと思います。

Portacapture X6

現在はニコンの上位機種あたりに限定されますが、Bluetoothタイムコードにも対応出来ます。

こちらはアプリ経由での接続で、デバイスとのペアリングではないためなのか、スマホの画面を閉じるとBluetoothの接続も切れるというかなり不便な使用。これはX8でも同じなので、どうして2年経った新製品でも改善を入れなかったのかは不思議です。

そしてこれはZOOMにも言えることですが、なぜBluetooth接続をオプションとしているのかが本当に謎というか、これについては小一時間は問い詰めたいほどの仕様です。ZOOM、TASCAMともにそういう手段を取っているということは何かあるのでしょうか? 個人的には全く理由がわからないので、出来れば最初から内蔵にして欲しいところです。TASCAMにはDR-44WlというWi-Fi内蔵があるというのに。

そしてこのオプションが「差し込み式」というのも業務上で使うにはかなりリスキーです。カチっと抜け落ち防止ロックや蓋があるならまだしも、ただの差し込みはX6では抜け落ちそうにはないですが、X8では抜け落ちたという話も聞きます。
こういった部分をもう少しユーザー目線で開発して頂けるとうれしいのですが。

ウィンドスクリーンは他社製も使える

これに関してはPortacapture X6に限ったことではありませんが、ウィンドスクリーンは他社製でもピッタリハマるものはあります。

私が最も丁度良いと思ったのはZOOM製のウィンドスクリーンです。

TASCAM製のウィンドスクリーンはDRシリーズの物を持っていますが、毛足が短く持っている中では一番防風効果が低い。それなので今回Portacapture 用に発売されたウィンドスクリーンは見送りました。
そして予想していた通りに丁度良くZOOM製ウィンドスクリーンがハマってくれたので、これで常用しようと思います。
TASCAMさん、純正のウィンドスクリーン、もう少し毛足長くしませんか?

純正ケースが欲しい

TASCAMはこれまでも様々なPCMレコーダーを出していて、いずれも専用ケースは出していません。ZOOMはそれぞれに専用ケースだったり、汎用ケースを出しているのでとても重宝しているのですが、TASCAMはそういったアクセサリーには無頓着です。

やはり5万もする製品ですから、持ち歩くときにはケースが欲しい。そこで色々と探してはいますが、これといったケースはまだ見つけていません。そんな折に急場しのぎとしてこんなケースがハマりました。

これまたZOOMのH5用ソフトケース。こうまでライバルメーカーのアクセサリーがハマるのも皮肉なものです。出来るならTASCAMにもメーカー純正のケースなりのアクセサリーを求めたいです。

まとめ

基本的にはとても気に入っています。32bit float 録音は本当に手間暇掛けずに即座に録音が出来て、PCMレコーダーの中でもかなり磨き上げられた高音質です。ミドルレンジとは言え5万は少々高いと思うかもしれませんが、色々と他のレコーダーに手を出して設定に苦労して、レコーダー沼に(苦行として)ハマるくらいなら、一歩踏み出して購入してしまうのが正解だと思います。

個人的にはZOOM H5やF1で散々マイクカプセルも集めましたが、Portacapture X6の完成度の前にはもう他のレコーダーを使う意味がないくらいです。
今後ZOOM H5、H6等のマイクカプセル交換式レコーダーの32bit float版が出ないのであれば、一式揃えて手放しても良いと考えてしまうほど、すべてを包括したレコーダーです。

正直、PCMレコーダー界ではトップを走っている(と思っている)ZOOMが折角の32bit floatレコーダーを、Mic Trakシリーズのようなある意味イロモノ的な製品開発をしている間に、TASCAMは正統派で出してきて勢力図が変わりそうな気がしています。特にMic Trakシリーズは異色過ぎて、デザイン的にも材質的にもちょっと迷走しているようにも思います。

Portacapture X6には、とにかくこれまで以上に持ち歩いてフィールドレコーディングを楽しみたいという欲求に駆られる魅力がありました。
レコーダーに興味を持たれましたが、ぜひ候補にあげてみてはいかがでしょうか?

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