YAMAHAが本気になったワイヤレスイヤホン|TW-E7Bを購入した
失敗を経て本気になったYAMAHA
ひとことで言えば、前回の TW-E7Aは大失敗だった。ヤマハらしくない片手間とすらも言えないレベルで作ったと思えたクオリティだった。そのせいでヤマハの完全ワイヤレスイヤホンの信頼度はマイナスになり、他の音響機器メーカーの中ではかなりユーザーからそっぽ向かれたと思います。私自身Air Pods Pro以外のイヤホンを探していてTW-E7Aは期待していただけに、音質以外のクオリティの低さに落胆しました。
その後は結局ずーっと探しながらAir Pods Proを使い続けて来ました。
満を持して設計され直したフラッグシップ
昨年の2022年6月に満を持して発売された新たなフラッグシップ「TW-E7B」。ずっとレビューを見たり視聴したりして、今度こそ買って後悔はないだろうと思いつつ半年も様子見してしまいましたが、2023年を期に買うことにしました。デザインが一新されて、個人的には前作よりも圧倒的にデザインがカッコいいと思っています。少し大きいとは思いますが10mmドライバーにとても期待しています。
音質について
これから聴き込んでいくのでまだ初感ですが、やはり明瞭感が非常にあります。レコーディングエンジニアがヨシとしたミックスを素直に聴かせるような印象ですが、かといってモニター的なものではなくてあくまでもレコーディングされた音を素直に聴かせるチューニングをしている印象です。
キチンと各楽器が鳴っていて、それらを分離させすぎずにちゃんと「ミックスされた音楽的な聴き心地」が楽しめるまさにフラッグシップにふさわしい音だと思います。
ビクターの「HA-FW1000T」もとても良いイヤホンですが、こちらは「音楽的に聴いていて気持ちが良い」を最高に構築した言わば「アーティストやレコーディング・エンジニア」から手を離れたところで「気持ちの良い音をさらに考える」という部分の表現だと思います。
対して「TW-E7B」は「アーティストやレコーディング・エンジニア」がこう聴かせたいというところ以上には手を加えない印象でした。
ちなみに「Air Pods Pro」は、全体的に密度が薄く中域が弱く平坦な印象ですが、YouTubeなどの話し声など、日常会話的な音が聞きやすいチューニングになっている「そもそもの目的が違う」イヤホンだと思います。
それなので「Air Pods Proは音が悪い!」というレビューはちょっと違うかなと。言ってしまえば、YouTubeなどの動画視聴で音楽以外を主体に置いたものを観ることを前提とするなら、会話などの音声帯域がよく聞こえる「Air Pods Pro」に勝るものはないと思います。
ノイズキャンセル性能は低い?
静寂さという意味では「Air Pods Pro」はトップクラスで、これを超えるものは数あるワイヤレスイヤホンの中でも殆どないくらいのレベルです。少なくともライバルは元祖ノイズキャンセルのBOSEくらいだと思います。私自身は他のノイズキャンセル搭載ワイヤレスイヤホンはAir Pods Pro以外は所有したことがないので、家電店でBOSEやゼンハイザーなどを視聴したくらいです。普段使いがAir Pods Proのユーザーの意見としては、必要十分なレベルのノイキャンは搭載していると思います。
普段通勤は電車ですが、地上から途中地下鉄に入ります。正直地下鉄内はAir Pods Proでもなかなか難しいくらいうるさいですが、少なくとも「TW-E7B」でも音楽試聴に邪魔な低域のノイズはかなりカットしてくれますし、元々の音質が良いのでむしろ音楽を聴くということにおいては「Air Pods Pro」以上に聴きやすくなっていると感じています。
単純にカフェなどの作業で「静音」を手に入れたいという方にとってはBOSEや「Air Pods Pro」を選択した方が良いでしょう。
「音楽を聴くためのノイキャン」という位置づけだと思います。
アンビエント(外音取り込み)性能は?
「Air Pods Pro」が自然でなにも着けていないような耳で直接聞いた感覚というなら、「TW-E7B」はPCMレコーダーで周辺の音を集音してモニタリングしているような感覚です。長時間のアンビエント用途であれば「Air Pods Pro」の方が聞き疲れはしないでしょう。買い物時や必要なときに使う用途であれば、「TW-E7B」でも良く聞こえますし、むしろPCMレコーダーのように、こすったりさすったりする微妙な音まで聞こえすぎるくらいです。
装着感
装着に関して言えば、個人的には「Air Pods Pro」が最強で、「TW-E7B」に限らずBOSEもゼンハイザーもビクターもそれほど装着感が変わるようには思えません。そもそも「Air Pods Pro」が軽すぎるのかもしれません。好みのイヤーピースを見つけさえすれば、装着の感覚は好きなように出来るでしょうし、現状「TW-E7B」の付属イヤーピースで不満はありません。
接続性能
西新宿のNTT東日本本社ビル周辺から、新宿駅周辺まで歩いて周りましたが、一度もiPhone13と接続が切れたりノイズが入ったりなどすることはありませんでした。
ペアリング台数とマルチポイント
ペアリング台数は6台と余裕のある仕様です。残念ながらマルチポイントには対応していないので、ペアリングした機器が手元にいくつかある場合は、最後に接続したものと自動接続になるので、接続機器を変更する場合は手動操作が必要です。
このあたりはライバル機はファームウエアで後日対応などしている状況なので、可能であればぜひ対応ファームを期待したいところです。ちなみに下位機種のTW-E3Cはマルチポイント対応です。
通話品質
通話品質については評価出来ていません、なにより「Air Pods Pro」ですら数回した通話したことがないので、個人的には現状あまり重要な要素ではありません。ただリモートワークなどで使いたい方は印象としては、「Air Pods Pro」の方が会話の聞きやすさはあるように思います。
まとめ
全体的には音楽を気持ちよく聴くために作られたのが「TW-E7B」だと思います。かたや「Air Pods Pro」は通話や動画試聴など人の会話などを重視しているイヤホンだと思います。
日常で本当に手軽にサッと使いたい場合には「Air Pods Pro」は最適解ですが、音楽をより一層移動中でも楽しみたい場合には「TW-E7B」はとても良い選択肢です。動画視聴でもリップシンクがズレることはほぼなかったので、映画なども迫力ある鑑賞が出来ると思います。
私は用途で使い分けるつもりです。ただ、音楽を楽しむに当たっては「Air Pods Pro」には戻れそうにないくらい「TW-E7B」の音質が気に入りました。
もう少し話題になっても良いと思います。